夏も冬も大活躍の「エアコン」 買い替えのタイミングは? 何年使える? メーカーに聞く
エアコンは何年使い続けることができるのでしょうか。メーカーに聞きました。
秋らしい日が増え、時には冬を思わせる気温の日もあります。そんな中、気になるのがエアコンがいつまで問題なく使えるのか、つまり耐用年数です。例えば、賃貸住宅では、製造から10年以上経過したエアコンが使われ続けていることも珍しくなく、故障するリスクが高そうです。使いたいときに故障で使えないのは避けたいところですが、そもそも、エアコンは何年使い続けることができるのでしょうか。また、買い替えを判断する目安はあるのでしょうか。空調事業などを手掛けるダイキン工業(大阪市北区)広報グループの高木旭さんに聞きました。
10年程度の使用を想定して製造
Q.そもそも、エアコンの耐用年数について教えてください。何年程度の使用を想定して製造されているのでしょうか。
高木さん「多くの場合、10年です。なお、製品の経年劣化による事故を防ぐため、国は『長期使用製品安全表示制度』という制度を2009年4月1日に施行しました。エアコンなどを対象に、『設計上の標準使用期間』や『経年劣化についての注意喚起』の表示を義務付けています。よって、同年4月以降に製造されたエアコンは、室内機の底面に標準使用期間を記載したシールが貼られています」
Q.買い替えの適切なタイミングはありますか。例えば、どのような不具合が出たら、買い替えを検討した方がいいのでしょうか。
高木さん「特に明確な基準はありませんが、『部屋が冷えにくくなってきた』『寒い日に部屋が暖まりにくくなった』『以前より電気代が増えたように感じる』『聞き慣れない音がするようになってきた』などの症状が見られるようになったのであれば、買い替えを検討してみてはいかがでしょうか」
Q.エアコンの劣化を早めないために気を付けるべきことについて教えてください。
高木さん「部屋が冷えにくくなったり、不快な臭いが出たりするのを防ぐため、次のお手入れをおすすめします。
【室内機の内部を乾かす】
エアコンが冷房運転や除湿運転をする際、室内機内部にある『熱交換器』が結露します。エアコンのスイッチを切った後もそのままにしておくと、嫌な臭いやカビの原因になることがあります。
現在の一般的なエアコンは、冷房や除湿運転後、室内機内部を乾かす運転を行います。それを当社では『内部クリーン』運転と呼んでいます。冷房運転や除湿運転の後に行われる『内部クリーン』運転を止めずに、室内機の内部を乾かすことで、臭いやカビを抑えることにつながります。
【フィルターを小まめに掃除する】
2週間に1度、フィルターに付着したほこりを掃除機で取り除いてください。また、汚れがひどい場合は、中性洗剤を溶いたぬるま湯で洗ってください」
Q.ちなみに、室外機も掃除をした方がいいのでしょうか。
高木さん「室外機は基本的にお手入れ不要ですが、周辺に物を置いたり、ごみ(飛来物など)をためたりしないでください。物やごみがあると外気の吸い込みや吹き出しが妨げられ、運転効率が下がってしまいます。荷物やごみは必ず取り除きましょう。
なお、夏場は直射日光も冷房効率を下げる要因になるので、室外機は日陰に設置するか、1メートルぐらい離れた所によしず(ヨシの茎を編んで作ったすだれ)や観葉植物を置いて日陰をつくるといいでしょう」
Q.古いエアコンを使用すると、新しいエアコンに比べて電気代が高くなると聞きますが、なぜなのでしょうか。
高木さん「1998年6月に省エネ法が改正され、『トップランナー制度』が導入されました。エアコンにも、省エネ性能の向上を促すための目標基準(トップランナー基準)を満たすことが求められ、その目標値は定期的に見直されながら引き上げられています。つまり、新しいエアコンほど省エネ性能が高く、古いエアコンは新しいエアコンに比べて電気代が高くなる傾向にあります。
ちなみに、メーカーがエアコンの省エネ性能を高める手段の一つとして、エアコンに組み込まれた『熱交換器』を大きくして表面積を広げる方法があります。近年のエアコンの室内機の奥行きが昔の製品よりも大きくなっているのは、そうしたことも関係しています」
Q.エアコンの出荷台数が多い月や新商品が出るタイミングについて教えてください。
高木さん「例年、業界におけるルームエアコンの国内出荷台数は、6月から7月にかけてピークを迎えます。また、ルームエアコンの新商品の発売時期は、当社の場合、11月初旬です。
需要のピークを迎える前の11月に新商品を発売するのは、エアコンを購入されるお客さまに対し、店頭やテレビCM、カタログなどを通じて新商品の特長をしっかりお伝えすることにも役立っていると感じています」
Q.2020年から続く新型コロナウイルスの流行で、換気の重要性が叫ばれています。エアコンをつけることで換気になるのでしょうか。もし、換気にならない場合は、エアコンをいったん切ってから換気した方がいいのですか。それとも、エアコンをつけたまま換気した方がいいのですか。
高木さん「ほとんどのエアコンには換気機能はありません。そのため、窓を開けたり、住宅に設置された24時間換気システムを使用したりするなど別の方法での換気が必要です。
熱中症予防や省エネなどの観点から、換気をする際もエアコンをつけっ放しにするのがおすすめです。夏や冬は窓を開けると暑い空気や寒い空気が入ってきますし、エアコンは立ち上げ時に最も消費電力が大きくなるため、電源を入れたり、消したりする頻度を減らすことで節電につながります。
当社の実験では、定期的に行う5分程度の窓開け換気時や30分程度の外出時も、つけっ放しの方がお得という結果になりました」
(オトナンサー編集部)
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