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ストリートビューに写った犬の顔に“ぼかし”が…「肖像犬」「笑った」、その理由は?

「Googleストリートビュー」に写り込んだ「犬」の顔に“ぼかし”がかけられたことがSNS上で話題に。「まさに肖像犬(権)」「笑った」などの声が上がっていますが、犬にもそのような権利はあるのでしょうか。

ぼかしがかけられた犬(「Googleストリートビュー」より)
ぼかしがかけられた犬(「Googleストリートビュー」より)

 SNS上などで先日「Googleストリートビュー」に写り込んだ「犬」が話題となりました。実際に確認すると、鹿児島県の海岸付近で放し飼いにされている犬が撮影カーに気づき、車を追いかけている様子が数カット存在。中には、犬の顔にぼかしがかかっているものもありました。ストリートビューでは、写り込んだ人物の顔や車のナンバープレートに、プライバシー保護の目的でぼかし処理が施されますが、犬にも適用されたことについて、SNS上では「犬の顔にもモザイク入るんだ」「まさに肖像犬(権)」「笑った」などさまざまな声が上がっています。

 オトナンサー編集部では、犬など動物の肖像権や今回、犬の顔にぼかし処理が行われた背景について、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士と一般社団法人日本情報技術振興協会(JAPRO)認定講師の久原健司さんに聞きました。

肖像権やプライバシー権は「人」のもの

Q.犬をはじめとする動物にも肖像権やプライバシー権はあるのでしょうか。

刈谷さん「肖像権は、法律や判例で明確に定義されているわけではありませんが、一般的には『人の自己の肖像(写真、絵画、彫刻など)をみだりに他人に撮られたり使用されたりしない権利』として用いられることが多いです。一方、プライバシー権は『人の私生活上の事柄をみだりに公開されない権利』です。犬などの動物は法律上、権利義務の客体となることはできないため、肖像権やプライバシー権はないと考えられます」

Q.商業的価値のある「タレント犬」でも法的扱いは変わりませんか。

刈谷さん「タレント犬であっても変わりません。なお、商業的価値を保護するパブリシティー権についても、肖像などが有する顧客吸引力を排他的に利用する『人』の権利であり、同様に認められていません」

Q.飼い主(所有者)の許可なくペットの写真を撮ったり、写真をインターネット上などにアップしたりする行為に法的問題はないのでしょうか。

刈谷さん「単にペット自体の写真を撮るだけ、またネット上に出すだけで法的問題になることはないでしょう。ただし、被写体にペット以外の人の肖像、室内などのプライバシー、芸術品などの著作物が含まれる場合、その権利を侵害したとして、損害賠償請求の対象となる可能性があります。また、撮影場所が公道など公の場所でなく、撮影が禁止されている施設などである場合は、その管理権を侵害したとして、同様に損害賠償請求の対象となる可能性もあります。さらに、写真をネット上などに出す場合も、たとえば飼い主(所有者)を誹謗中傷する情報とともに出すと、飼い主(所有者)の名誉権を侵害したとして損害賠償請求の対象となる可能性があります」

刈谷さん「つまり、動物の写真撮影において、飼い主(所有者)との関係では、飼い主自身の権利を侵害することにならない限り、法的問題に発展することはないと言えますが、飼い主以外の権利を侵害する可能性は十分にあるので注意が必要です。また、法的問題と言えずとも、マナー違反ではあるので、できる限り飼い主の承諾を得るように行動すべきでしょう」

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久原健司(くはら・けんじ)

株式会社プロイノベーション代表取締役、ITジャーナリスト

1978年生まれ。2001年に東海大学工学部通信工学科を卒業後、ITの人材派遣会社に入社。大手コンビニエンスストアのPOSシステム保守運用業務を担当する。2003年からソフトウエア開発会社で、システムエンジニアとして、大手通信会社のWebアプリケーションシステム開発など多くの業務に携わるも、2006年、小さな頃からの夢であった独立を決意。2007年(29歳)に株式会社プロイノベーション(http://proinnv.com/)を設立し、当時としては珍しいオブジェクト指向によるモデリング開発でのサービス提供を始める。2018年「振り向くホームページ」サービスを開始(http://furimuku.com/)。プロのフリーランスを集めて企業の成長をサポートすることで、フリーランスとしての働き方を応援する傍ら、日本一背の高いITジャーナリストとして、さまざまなウェブメディアでも活躍中。

刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。

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