あなたはどっち? 日焼けで、肌が「黒くなる人」と「赤くなる人」は何が違う? 皮膚科医に聞いてみた
日焼けによって、肌が「黒くなる」人と「赤くなる」人がいます。この両者の違いはどこにあるのでしょうか。皮膚科医に聞きました。
夏のレジャーなどで日焼けをした後、肌が「黒くなる」人と「赤くなる」人がいます。中には、肌がヒリヒリと痛んだり、皮がむけてしまったりするケースもあるようで、「こんがり焼きたいのに、いつも赤くなるだけ」「皮がむけてボロボロになったらどうすれば…」「ケアの仕方はそれぞれ違うの?」といった声も聞かれます。
日焼けによって肌が「黒くなる」人と「赤くなる」人は、何がどう違うのでしょうか。アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士院長(皮膚科・形成外科)に聞きました。
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Q.まず、「日焼け」のメカニズムについて教えてください。
佐藤さん「日焼けとは、太陽光に含まれる紫外線によって引き起こされる皮膚の炎症や色素沈着のことをいいます。日焼けには、皮膚が赤くなる『サンバーン』と、皮膚が黒くなる『サンタン』の2種類があります。
私たちの皮膚は、紫外線に対して保護作用を持つ『メラニン色素』を皮膚に蓄えることで、有害な紫外線から体表の細胞を守っています。しかし、メラニン色素による保護作用を超える紫外線を浴びた場合、皮膚に炎症が起きて赤くなり、腫れや痛みを伴うようになります。これがサンバーンです。そして炎症が起きると、皮膚の細胞がメラニンをどんどん作り出すようになり、皮膚は黒くなっていきます。これがサンタンです。
通常、サンバーンは紫外線を浴びてから数時間後には出現し、8〜24時間をピークに、2〜3日で落ち着きます。サンバーンが落ち着いてきてから、徐々に皮膚が黒くなってサンタンの状態になります。サンタンは数週間から数カ月続いた後、徐々に元に戻っていきます」
Q.日焼けをした後、肌が「黒くなる」人と「赤くなる」人がいるのはなぜですか。
佐藤さん「人間には、持って生まれた肌の色があります。紫外線に対する反応も肌の色によって異なります。肌の色は主にメラニン色素の量に関係があり、白色人種はもともとメラニン色素が少なく、紫外線に当たっても赤くなるだけで黒くなりません。一方、黒色人種はもともと大量のメラニン色素が皮膚にあるため、日焼けをしません。そして、日本人などの黄色人種は紫外線に当たると最初赤くなり、その後黒くなるという中間の反応をします。こうした紫外線に対する反応の違いにより、『フォトスキンタイプ』として次の6つに分類されています。
・スキンタイプI…白色人種。常に赤くなり、決して皮膚の色が濃くならない
・スキンタイプII…常に赤くなり、その後少し皮膚の色が濃くなる
・スキンタイプIII…時々赤くなり、皮膚の色が濃くなる
・スキンタイプIV…わずかに赤くなり、皮膚の色が濃くなる)
・スキンタイプV…ほとんど赤くならず、皮膚の色がとても濃い
・スキンタイプVI…黒色人種。決して赤くならない
およそ、スキンタイプII〜IVに当たるのが日本人です。単純に、色白の日本人は日焼けで赤くなってあまり黒くならず、色黒の日本人はあまり赤くならず黒くなる、と考えてよいでしょう」
Q.「黒くなる」人、「赤くなる」人のそれぞれにみられる特徴はありますか。
佐藤さん「スキンタイプは持って生まれた肌質なので、年齢や性別による違いはありません。ただ、年齢とともに紫外線を浴びる機会が増えていきます。その人が赤ちゃんの頃よりも大人になってからの方が、顔や手足の皮膚の色は濃くなるので、年齢を重ねるにつれて日焼けで赤くなりにくく、黒くなりやすいようになります。もちろん、生活習慣で常に紫外線を浴びて色黒になっている人は、本来のスキンタイプよりも日焼けで黒くなりやすい反応を示すでしょう。
また、皮膚に色素沈着を来す持病、例えば『アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)』のようなホルモン分泌異常症、慢性のアトピー性皮膚炎、糖尿病などがあるとスキンタイプが濃くなりやすいため、日焼けで黒くなりやすくなります」
Q.自分の肌のタイプがどちらかを判断する方法はありますか。
佐藤さん「紫外線の反応には個人差があります。夏に海や山で日差しを浴びた後、赤くならずに黒くなるか、赤くなるが黒くならないか…といったご自身の経験で、スキンタイプはおおむね判断できると思います。
自分の本来のスキンタイプを知るなら、下着に隠れたお尻の色を見てみるといいでしょう。お尻が白かったら白色人種に近く、地黒なら黒色人種に近い反応を示します。通常、お尻は紫外線に当たることはほとんどないので、その人本来のスキンタイプの色と考えられます」
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