コンセントに差した携帯充電器を子どもが口に入れたら感電? その危険性とは
コンセントに差した携帯電話の充電器のコード端子を子どもが口に入れ、感電事故につながったケースが話題に。SNS上では「めちゃくちゃ怖い」などの声が上がっていますが、実際にこうした事故は発生しうるのでしょうか。

携帯電話の充電器による事故について先日、SNS上などで話題になりました。小さな子どもがいる家庭では、コンセントに差した充電器のコード端子を誤って子どもが口に入れ、感電事故につながるケースがあるようです。これについて「めちゃくちゃ怖い」「コード多いから対策考えなきゃ」「そんなに電力強いんだ…」など、さまざまな声が上がっています。充電器の事故とその対策とはどのようなものでしょうか。大手携帯キャリアや家電メーカーで作る、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)の小熊堅司さん(技術委員長)と新保恭一さん(モバイル充電WG主査)に聞きました。
携帯電話に出力される電圧はDC5~12V
Q.携帯電話の充電器の端子を口に入れると感電するのでしょうか。
小熊さん「実際の事故の状況や内容については、情報がないと正しく判断できないので、特定の事例に関するコメントは控えます。ただし、現在の携帯電話用の充電器では、携帯電話側に出力される電圧はDC5~12V程度であり、それだけで人体に大きな影響を与えるものではありません。
ただし、その充電器が家庭用ACコンセントにつないで使用するタイプの場合、いくつかの注意点があります。このタイプの充電器の場合、ACコンセントからの電力を元にして、携帯電話用に出力するDC電力を生成しています。通常の製品では、AC電源回路とDC電源回路は電気的に分離されており、携帯電話へのDC電力出力時にはAC電源回路からの電流は回り込まないように設計されているはずです。
しかし、充電用に使用しているケーブルにおいて、中に入っている電線部を保護しているはずの被覆に傷が入っている場合▽充電端子のコネクタを曲げてしまうなどして、中の電線や部材が外から見える状態の場合▽電源部のアース処理が正しく行われていないなど、安全設計が十分になされていない充電器の場合などに、AC電源回路からの電流が充電器本体またはコネクタ、被覆の傷から表に出た電線などを通して人に触れる状態になってしまうことが考えられます」
Q.こうした異常がある充電器を使用した場合、どのような現象が起こりえますか。
新保さん「使っている環境や製品の状況によっては、触るとビリビリしたり、感電したりする恐れがあります。特に、風呂場での利用など水に接する環境は危険です。また、充電器の保護回路が不十分だと、充電端子のコネクタ部のショートや、コネクタを曲げてしまった際にコネクタまたは充電器本体が変形したり、発煙するほど高温になったりする場合もあります」
Q.充電器による事故を未然に防ぐために気をつけるべきことは何でしょうか。
新保さん「古くなったり、曲がっていたり、傷がついていたりする充電器やケーブルは、早めに新しいものに取り換えることをお勧めします。充電器自体も、より安全性の高いものを選ぶようにしてください。たとえば自動車の場合、運転者の安全を守るためのハンドルアシスト機能や、衝突防止機能などがオプションで用意されている場合があり、ユーザーはオプション料金を支払うことで、こうした安全性を高める装置を装備します。充電器についても似たようなところがあり、さまざまな事故を回避するための安全回路が多く入った安全性の高い充電器は、そうでない充電器に比べて値段が高くなるかもしれません。また、MCPCは充電器の安全性に関するテストを実施しており、合格製品には合格マークを表示しているので、安全性の高い充電器を見分ける方法として覚えておくとよいでしょう。充電に関する注意事項は、MCPCホームページなどでも案内しています」
■MCPC安全サイト
http://www.mcpc-jp.org/safe/index.htm
(ライフスタイルチーム)
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