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最近忘れっぽい…原因はスマホのしすぎ? 若者に増加中「スマホ認知症」とは

最近、とっさに人の名前や漢字が思い浮かばない――。その症状、もしかしたら「スマホ認知症」かもしれません。スマホが脳に与える影響について医師に聞きました。

スマホ認知症の若者が急増中?
スマホ認知症の若者が急増中?

「スマホ認知症」に関して先日、SNS上などで話題になりました。「最近物覚えが悪い」「忘れっぽくなった」「とっさに言葉が出てこない」など、認知症のような症状を訴える若年層が増加しているといい、その原因として「スマホによる情報のインプット過多」「脳の情報処理が追いつかずオーバーフロー」「思考する時間が少ない」ことが考えられるそうです。これらはスマホ認知症と呼ばれ、SNS上では「心当たりある」「ツイッターをダラダラ見るのは脳によくないのか」「情報を遮断する時間が必要?」など、さまざまな声が上がっています。実際に、スマホ認知症は存在するのでしょうか。おくむらメモリークリニックの奥村歩院長に聞きました。

インプット過多で脳のメンテナンス機能が低下

Q.スマホ認知症とは何でしょうか。

奥村さん「スマホへの依存や、別のことをしながらスマホを操作する『ながらスマホ』によって、脳に異変が現れる現象のことです。スマホ認知症は特定の疾患ではありませんが、当院を受診される患者さんは若年化しており、20~40歳が10%、40~60代が20%です。つまり、若い方が病的な物忘れに悩み、受診されているのです。こうした若年層の方のほとんどは、スマホや情報との付き合い方に問題が見られます。さらに、60歳以上の方の物忘れも、アルツハイマーなどといった本物の認知症が影響しているのは6割で、残りの4割にはスマホ認知症が影を落としているのです」

Q.スマホによる情報収集は、脳機能にどのような影響を与えるのでしょうか。

奥村さん「単語の意味や現在地の確認、グルメ情報など、目先の疑問について調べる時、スマホは本当に便利であり、私たちの生活に必要不可欠なものです。しかし、必要以上にスマホを使用すると、健康を害する危険性もあります。そもそも人の脳は、外界から情報を入力する『インプット』と、頭の中で情報を整理整とんし、新たな個人の価値観を加味して思考・行動する『アウトプット』から成り立っています。

ここで重要なのは、インプットとアウトプットは同時には働かないという点です。情報を収集し、インプットしている時は“我を忘れて”入力に特化する脳機能が働きます。その間は、考えること・行動することが許されないシステムが優位になるため、脳のメンテナンス機能が働きません。このため、人や物の名前が出てこない、漢字が書けない、気の利いた発言ができない、仕事の効率が悪くなるなど情報処理能力の低下が起きます。また、イライラしたり、幸福感を感じなくなったりするなど、感情のコントロールができなくなります。

スマホから情報を得ること自体はよいのですが、人間には何もせず、ぼーっとする時間も必要です。インプットを遮断して脳内を整理したり、じっくり思考をしたり……そうしたことに費やすべき時間にスマホを触ってしまうと、生産性が上がらないという問題が起きるのです」

Q.スマホ認知症と認められた場合、どのような治療が行われますか。

奥村さん「スマホやパソコン、タブレットなどのデジタル機器から離れる『デジタルデトックス』を行うなど、情報に振り回されない生活を提案します。人や仕事、情報にまみれない時間を持てるように、スマホを見ない時間を増やすのです。春の時期であれば、外へ出て桜を眺めながら日光浴をするのもよいでしょう」

Q.本やテレビ、映画などによるインプットは問題ないのでしょうか。

奥村さん「“能動的”な情報収集であるかどうかがポイントです。自分のアウトプットのために、意識的に情報を収集する能動的な検索は問題ありません。現代において、本や映画を選ぶことは、能動的なアウトプットを意識した人の行動であると言えます。テレビはスマホと同義ですが、この場合も能動的な情報収集を意識していれば、テレビによるインプットもオーケーです。余暇の楽しみであること、もしくは自分の生活のためであることを意識・自覚した上で、スマホやテレビ、ゲームに触れるのはよいのですが、問題は我を忘れた反射的なネットサーフィンです。脳のメンテナンスや整理整とんを邪魔して『我に返る時間』を奪うのがスマホの怖い部分だと思います」

(ライフスタイルチーム)