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夏の花粉症? アウトドア&レジャーで気をつけたいアレルギー対策 “素肌ケア”も重要

夏なのに鼻がムズムズ…。くしゃみが止まらない…。実は、花粉によるアレルギー症状の可能性が? 意外に多いと言われている夏の花粉症について、医療法人社団南州会三浦メディカルクリニックの呼吸器専門医・井上哲兵医師に聞きました。

夏の花粉症って?
夏の花粉症って?

 夏に感じる体調不良といえば、熱中症や、屋内と屋外の温度差による夏風邪が挙げられます。しかし、この時期に鼻がムズムズしたり、くしゃみも止まらない、さらに肌荒れも……という症状を感じる人もいませんか? 実は、花粉によるアレルギー症状の可能性があります。「夏に花粉症!?」と思うかもしれませんが、季節によってアレルギー症状を起こす原因となる植物はさまざま。夏はキャンプや登山といった自然のなかに出かける機会が多い季節でもあります。意外に多いと言われている夏の花粉症について、医療法人社団南州会三浦メディカルクリニックの呼吸器専門医・井上哲兵医師に聞きました。

花粉症の原因はスギ科だけではない 肌荒れを守るには…

Q1.夏の花粉症にはどんな種類がありますか?

井上哲兵先生(以下、井上先生):夏の花粉症は、主にイネ科の植物であるカモガヤ、オオアワガエリ、キク科のブタクサ、ヨモギが原因とされています。

 カモガヤもオオアワガエリも、全国各地の河川敷や公園、手入れが行き届いていない空き地、道路脇などにたくさん生えている身近な植物なんです。ブタクサも同じで、北海道を除く、本州・四国・九州の公園や河川敷に広く繁殖しています。

 ヨモギもとても身近な植物ですよね。ヨモギ餅のヨモギです。夏から秋にかけて花粉を出すことが知られています。こちらも、空き地や河川敷に群生しています。

Q2.夏の花粉は、スギ花粉のアレルギー症状と同じでしょうか? 何か違いはありますか?

井上先生:基本的にスギ・ヒノキアレルギーと同様の症状です。鼻水・鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみです。また、花粉が原因でぜんそく発作を起こしたり、肌荒れの原因になる事もあります。

Q3.花粉や汗による肌荒れを防ぐ方法はありますか?

井上先生:花粉による肌荒れは、肌がもともと弱い人はもちろんですが、皮膚バリア機能が落ちてしまっている人に起きやすいと言われています。

 皮膚バリアを正常に保つためには、一にも二にも、保湿による素肌ケアが大事です。

 大事なポイントはお風呂上がりに5分以内に化粧水→保湿クリームの順番でケアを行う事です。お風呂上がりの湿り気が多少残っている状態で保湿まで行うことが肌の水分量を維持することにつながります。

 夏でも冷房が効いている室内に長時間いる方は、肌が乾燥しがちになります。日々の手入れを油断せずにしっかりやっていきましょう。

 また、子どもの場合、あせもができ、かゆさでかきむしったりしたところに花粉が付くと、あせものかきこわしに加えてアレルギー性皮膚炎も合併してしまうことがあります。あせもができないように汗をかいたらシャツを小まめに替えたり、シャワーを浴びたりさせることも心がけましょう。

Q4.アレルギー症状を軽くする方法。または注意すべきことはありますか?

井上先生:最も効果が期待できる方法は、ここ数年で治療患者さんが激増してきている、ダニとスギアレルギーの免疫療法です。残念ながら夏の花粉など、他の物質は製剤化には至っていませんが、ダニとスギに関してはポピュラーな治療法になっています。

 免疫療法は注射免疫療法と舌下免疫療法に分かれますが、副作用がほとんど無く、簡便な舌下免疫療法が主流です。1日1回薬を舌の下に入れて溶かした後に飲み込むだけです。これだけで驚くほどアレルギー症状が緩和されます。

 また、事前にアレルギー物質が分かっているのであればその季節の少し前から、抗アレルギー剤を内服することも有用です。

Q5.花粉のアレルギー症状による目のかゆみの対策は?

井上先生:花粉やハウスダスト、ダニ、動物のフケなど空中に舞っているアレルギー物質を避けるのは目に見えませんし難しいですよね。

 目のアレルギー症状を軽くするには、アレルギー物質を物理的に避けるために眼鏡を着用したり、抗アレルギー剤の内服・点眼をしたりすることで対処するしかありません。

 点眼薬で注意が必要なのが、数カ月前に開封した点眼を使うこと。衛生面で必ず避けてください。

 また、ステロイドの点眼は眼圧が上昇する可能性があるため、眼科医の指導のもと使用するようにしてください。

 夏に思わぬ不調を感じたら、花粉症を疑ってみてもいいかもしれません。残暑が続き、まだまだアウトドアやレジャーを思いっきり楽しみたいところ。専門家の先生のアドバイスを元に、アレルギー症状を軽減して快適に楽しみましょう。

<プロフィル>
医療法人社団南州会三浦メディカルクリニック・理事長 井上哲兵先生

1984年生まれ、神奈川県出身。2009年、聖マリアンナ医科大学医学部を卒業。同大学病院呼吸器内科助教、国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長などを経て、2019年、神奈川県三浦市に「三浦メディカルクリニック」を開院。現在聖マリアンナ医科大学呼吸器内科非常勤講師を兼任。

(オトナンサー編集部)

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