第7波の渦中、「3年ぶりの帰省」するなら、何に注意? 早めに準備しておくべきことは?
新型コロナウイルスが再拡大し、「第7波」とみられていますが、全国的な行動制限は今のところ呼び掛けられておらず、「3年ぶりに帰省を」と計画している人も多いかと思います。どんな点に注意すべきなのでしょうか。

新型コロナウイルスが再拡大し、「第7波」とみられています。一方で、全国的な行動制限は今のところ呼び掛けられておらず、「3年ぶりに帰省を」と計画している人も多いかと思います。帰省するのであれば、どのような準備が必要で、どういう点に注意すべきなのでしょうか。医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。
ワクチンや検査、事前に
Q.新型コロナウイルスの新規感染者数がまた増加傾向となっています。どのような要因が考えられるのでしょうか。
森さん「再び感染が急拡大している大きな要因として挙げられるのは、オミクロン株の『BA.5系統』の流行です。BA.5系統は世界的に増加し、日本国内でも6 月から7 月にかけてBA.2 系統からの置き換わりが進んでいます。国立感染症研究所は、7月21日時点のBA.5系統が占める割合は96%を超えたと推定されると示しました。
BA.5系統は、BA.2系統より感染が広がりやすい上に、ワクチンや過去の感染で得た免疫を回避する能力が高い可能性が指摘されています。京都大学の西浦博教授らが東京都のデータをもとに分析した結果、BA.5系統はBA.2系統の1.27倍速く感染が広がっていると推計されています。
新規感染者数の増加の速さは国によって差がみられるものの、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の報告ではBA.2系統よりも12~13%、英国健康安全保障庁(UKHSA)の報告ではBA.2系統よりも35%、感染者が増えやすいと報告されています。BA.5系統への置き換わりが進んだことで、感染が急拡大していると考えられます」
Q.今のところ全国的な行動制限の呼び掛けはなく、帰省を計画している人も一昨年、昨年に比べて多いようです。もし帰省するのであれば、どのような準備が必要でしょうか、移動中の注意点と合わせて教えてください。
森さん「昨夏は、東京では4回目の緊急事態宣言、沖縄も延長となり、他でもまん延防止等重点措置が出され、都道府県境をまたぐ移動の自粛が求められました。一昨年は緊急事態宣言解除の後の『第2波』が重なり、重症化リスクが高い高齢者の感染を防ぐために帰省の自粛が呼びかけられました。
今夏は、過去最多の規模で感染拡大していますが、昨年までとの大きな違いは、ワクチン接種が進んだ点と、昨夏に流行した『デルタ株』と比べると、割合でみれば重症化率が下がっている点です。そうしたことからも社会経済活動や教育の機会を止めず、一律に行動制限の呼び掛けをしない方針が継続されています。
しかし、国内の新規感染者数が20万人を超える規模となっている現在、発熱外来や救急の逼迫(ひっぱく)が連日報じられ、コロナ病床の使用率も上昇しています。通常医療との両立が難しくなっている点からも、これ以上の拡大をさせないことが重要であり、帰省や旅行などのレジャーの場面でも感染対策の徹底が大切です。
出発が近くなったらリスクの高い行動はできるだけ避け、体調管理に注意を払うこと、少しでも症状を自覚したり発熱が見られたりしたら、出かけないことが前提となります。無症状で濃厚接触に該当しない人を対象とした無料検査が各都道府県で実施されているので、例えば、帰省に合わせて高齢者施設での面会や病院へのお見舞いの予定がある人などは利用するとよいでしょう。
ワクチン未接種、あるいは追加接種(3回目、対象者であれば4回目)が未接種の場合は、出発までに期間があれば接種することも、リスクを下げることにつながります。
移動では、公共交通機関を利用する場合は会話を控える、不織布マスクを着用する、できる限り混雑を避けるなどの基本的な対策が大切です。
また、地域を問わず全国的に感染者が増加しているため、旅先で体調を崩したりけがをしたりした場合に、医療へのアクセスが難しくなる可能性があることも認識しておく必要があります。
コロナ陽性となった場合は、感染が確認された地域での療養となるため、軽症でも自宅に帰ることができません。自宅療養と判断されれば延泊が必要となりますが、宿泊先の状況によっては、それができないことも考えられます。
可能性は低くても、こうした場合にどうすればよいか、ホームページなどで行き先の自治体の関連情報を出発前に調べておくことも大切です。
行き先が海外の場合は、現在は帰国の際に現地出国前72時間以内に検査を受けて、厚生労働省が定める陰性の検査証明書が必要となります。海外で陽性となり帰国できなくなるケースも出ているので、感染の可能性を想定したシミュレーションが必要になります」
コメント