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夫婦で離婚を約束する“離婚約”に賛否「離婚が手軽に」「新生活の準備」、弁護士に聞く

夫婦で離婚の約束をする「離婚約」が注目されています。芸能人による告白が話題となり、ネット上には賛否両論が巻き起こっていますが、そのメリットやデメリット、法的効力とはどのようなものでしょうか。

離婚約の効力やメリットとは?

 近年、婚約ならぬ「離婚約」という言葉に注目が集まっています。離婚約とは、将来的な離婚の約束を夫婦間で取り決めること。昨年、お笑いトリオ・インスタントジョンソンのじゃいさんが、妻と離婚約状態にあることを明かし大きな話題となりました。ネット上には「離婚前提で一緒に暮らすなんて違和感がある」「離婚約という言葉が広まることで、離婚が手軽なものになってしまいそう」などと批判的な声がある一方、「お金や子どものこと、大事な約束事項を整理しておくことは必要」「新しい生活への準備期間になる」「お互い冷静になって夫婦関係が改善する」といった肯定的な意見も見られます。

 離婚約のメリットやデメリット、法的効力はどのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞きました。

「協議離婚の予約」の意味で使われる

Q.離婚約の定義とはどのようなものでしょうか。

刈谷さん「離婚約という言葉は法律用語ではなく、一般的にも正確な定義づけはされていないようですが、夫婦が将来の(ある時期に)離婚を約束する、いわゆる協議離婚(民法763条)の予約という意味で用いられることが多いようです」

Q.離婚約に法的効力はありますか。

刈谷さん「協議離婚の成立には『離婚をするという当事者の意思』と『離婚の届け出がある』ことが必要です。当事者の意思は届け出をする時にも必要とされているため、仮に将来離婚する約束をして離婚届に署名押印したとしても、夫婦の一方が後から気が変わった場合、その後に届け出がされても離婚は無効となります。したがって離婚約には『その時が来たら必ず離婚しなければならない』という効力はありません。あくまでも、その当時そういう合意をしたという事実が残るだけです。また、前提となる離婚意思を自由に撤回できるため、離婚約の際に親権や養育費などを決めた場合でも、そうした取り決めの法的な効力も否定されると考えられます」

刈谷さん「ただし、離婚約の法的効力は否定されると考えられていますが、離婚約に何の意味もないわけではなく、書面に残しておけば少なくともその当時に夫婦間でそのような合意があったことは証明されます。したがって、たとえば不貞行為のような裁判上の離婚事由(民法770条1項各号)が、離婚約をするに至った原因であることを記載しておくと、離婚訴訟をした時に有利な証拠となりうるでしょう」

Q.離婚約を交わすメリットとデメリットを教えてください。

刈谷さん「メリットとしては、離婚協議書に近いものを作っていれば、実際に離婚する時スムーズに進められることが考えられます。また、子どもの成長に合わせて離婚時期を決めることが多いと思われるため、いきなり離婚する場合に比べて、転校や友人関係で子どもの負担が軽減することも考えられます。また、とりあえず離婚することが決まっていることによって、お互い精神的に楽になることはあるかと思います」

刈谷さん「デメリットとしては、予定していた離婚時期が来た時に、一方の気が変わった場合は結局もめてしまう可能性があります。また、子どもたちが夫婦関係の変化を敏感に察し、かえって負担になることも考えられます。結局、メリットとデメリットは表裏一体で、家庭によってどちらにも作用しうると思われます。離婚約をする際には、夫婦関係や家庭の状況をよく見極める必要があるでしょう」

(ライフスタイルチーム)

刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。

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