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水2リットル、野菜から食べる…運動しないダイエットが「すごい」と話題に、医師に聞く

あるダイエット法がSNS上などで話題に。「朝夕の食前に植物性プロテインと食物繊維」「毎日水を2リットル」「食事は野菜から」を実践した結果、体重が数キロ減ったといいますが、医師の見解とは――。

“運動しない”ダイエットが話題に(写真はイメージ)

 とあるダイエットの方法が先日、SNS上などで話題となりました。管理栄養士のアドバイスに従って「朝夕の食前に植物性プロテインと食物繊維のパウダーを摂取する」「毎日水を2リットル飲む」「食事は野菜から食べる」生活を2週間継続した結果、ほとんど運動をせずに体重が数キロ減ったとの体験談について、「すごい」「同じことをトレーナーに言われた」「水分って大事なんだな」などさまざまな声が上がりました。この方法で本当にダイエットはできるのでしょうか。医師の市原由美江さんに聞きました。

健康的なダイエットは体脂肪を減らすこと

Q.まず、医師から見た理想的なダイエットについて教えてください。

市原さん「体重は『体脂肪が減る』『筋肉が減る』『水分が減る』のいずれでも落ちますが、一般的にダイエットは『体脂肪を減らす』ことを指します。健康的なダイエットとして体重を落とすのであれば、体脂肪を減らすことが大切です。基礎代謝は、人間の生命維持に必要な活動に必要なエネルギーであり、寝ていても消費するものですが、筋肉が減ると基礎代謝が悪くなり、逆に太りやすくなるため、筋肉量を維持しながら体脂肪を減らすのが理想的です。一方、体脂肪は基礎代謝を含む消費カロリーと摂取カロリーのバランスで変化するので、食事と運動のバランスが大切です。運動をせずにカロリーだけを制限すると、筋肉が落ちたり基礎代謝が下がったりするため、運動を並行して行いましょう」

Q.朝夕の食前に植物性プロテインと食物繊維のパウダーを摂取するのは有効ですか。

市原さん「植物性プロテインは、大豆からできている『ソイプロテイン』が一般的です。ソイプロテインは、糖質が少なく低カロリーですが、大豆のタンパク質を摂取することによるダイエット効果に医学的根拠はありません。これは食物繊維のパウダーも同様です。ただし、食事の前にこれらを摂取することで満腹感が得られ、食事量や間食が減ることで、結果としてダイエット効果を得られる可能性は考えられます」

市原さん「ダイエットが目的であれば、植物性プロテインを摂取した上で運動をして筋肉量を増やし、基礎代謝を上げることが大切です。食物繊維は、腸を刺激して便通を促したり、善玉菌を増やして腸内環境を整えたりする働きがあるため、便秘の解消に有効です。便通が良くなると物理的に体重は落ちることになります。ちなみに塩分は、体内に水分をため込む働きがあります。前述のように、食事以外の要素で満腹感が得られた結果、通常の食事量が減ったとすれば摂取する塩分も減ることになります。塩分の摂取量が減れば、余分な水分は尿として排出されるため体重が落ちることになります」

Q.水を毎日2リットル飲んだり、野菜から食べたりするのは有効でしょうか。

市原さん「水を大量に飲むことによるダイエット効果に医学的根拠はありません。ただ、前述の植物性プロテインや食物繊維パウダーと同様に、満腹感を得られることで食事量や間食が減り、ダイエット効果を得られる可能性が考えられます。なお、肝臓や腎臓が悪い方で、むくみや腹水を認める場合や利尿剤を内服している場合、水分を取りすぎるとむくみなどが悪化することがあるため、過剰な水分摂取には注意してください」

市原さん「野菜を先に食べることで、食後の血糖値の上昇を防ぐ働きがあります。血糖値を下げるホルモンであるインスリンは、脂肪を体にため込む働きもありますが、野菜を先に食べることでインスリンの必要量が減り、長期的に見て体重が減る可能性はあります。そして、植物性プロテインや食物繊維パウダーと同様に満腹感が得られるため、食事量や間食が減ることによってダイエット効果を得られる可能性が考えられます」

Q.「2週間」という期間に科学的根拠はありますか。

市原さん「2週間という短期間では、体脂肪が落ちたというよりは便通や水分の影響が大きいでしょう。最低1カ月以上は様子を見て、体重の推移を確認するのがよいでしょう。筋肉量ではなく体脂肪が減ったのかどうかを確認するために体脂肪計をお勧めします」

Q.運動をせずに、食事だけで体重を落とすダイエット法があれば教えてください。

市原さん「前述のように見かけ上の減量は可能ですが、食事だけでできる健康的なダイエット法は残念ながらありません。サプリメントや食品など何かを“摂取”してダイエットしたいと考える方が多いと思いますが、摂取するのではなく、余計なカロリーを摂取せずにダイエットすることを忘れないでください」

(ライフスタイルチーム)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック勤務。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。

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