長澤まさみさんら著名人26人が「私も投票します!」 発起人の思いを聞く
参院選を前に、俳優の長澤まさみさんや池田エライザさんら著名人26人が投票を呼び掛ける動画が、YouTube上などで公開されています。発起人に思いを聞きました。

7月10日投開票の参院選を前に、俳優の長澤まさみさんや池田エライザさんら著名人26人が、主に若い世代へ投票を呼び掛ける動画が、YouTube上などで公開されています。「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」と題した動画で、「俳優版」と「文化人版」の2パターン、それぞれ約5分半の映像に加え、一人ずつ語るソロムービーもあります。
制作した「VOICE PROJECT」は、「市民による自主制作プロジェクト」として、映像作家の関根光才(こうさい)さんと、ともに映像プロデューサーの菅原直太さん、大越毅彦さんの3人が発起人となって企画。2021年衆院選の際、小栗旬さんら14人の著名人が投票を呼び掛ける動画を制作・公開したことに続くもので、今回は、前回とは違う26人が新たに出演しました。
関根さんに制作のきっかけや思いを聞きました。
「自分で考えたい、学びたい」きっかけづくり
Q.昨年10月の衆院選時に続く企画ですが、参院選でも取り組もうと思った理由を聞かせてください。
関根さん「昨年は、何のパブ(パブリシティー=広報)も打たず、ゲリラ的にひっそりとYouTubeに動画をアップしましたが、結果的に大きな反響を頂くことができました。ただし、実際に投票率が大きく上がったかというと、そうでもありません(18、19歳の投票率はかなり上がりましたが)。
私たちの活動は、投票に行ってもらいたいと願ってはいるものの、投票率を上げることが最終目的ではなく、投票に行くまでのプロセスを大事にしていて、そのきっかけづくりをしたいと思っています。
投票に行くことで、自分で考えたり、政治を意識し始めたりする部分があると思います。一度それを意識したら、それは非常に重要な『種まき』になると思っています。こういったことには時間がかかります。
一度キャンペーンをやって、それで投票率が上がらなかったから諦める、という打ち上げ花火のようなものではなく、時間をかけて、ゆっくりと醸成しなければいけないもの、人々が普通に投票へ行ったり、政治や自分の気持ち、考えについて対話できたりする社会になるまでの、土台づくりのようなものと考えています。
そこで、今年(の参院選)は、その社会と向き合う気持ちが広がっていく感覚を『カタチ』にしたいと思っていました。自然と、より多くの人(出演者)にお声掛けしたり、ウェブサイトも作ったりと、活動自体を拡大していくことになりました」
Q.出演者が前回の14人とまったく違う26人となりました。なぜでしょうか。
関根さん「前回は俳優、ミュージシャンの皆さんを中心にお声掛けをしましたが、今回は、より多様な社会のありようを意識して、例えばYouTuber、DJ、文化人の皆さんにも声を掛けさせていただきました。
同じ人が同じように声を上げ続けるよりは、『投票に行こう』『自分や誰かを大切にするために、社会と向き合おう』という意識がより大きく広がるように、前回とは違う皆さんに声を掛けました。
芸能に関わる皆さんは前回の動画を見ていただいた人も多く、『出たいと思っていました』と反応してくださる人も多く、とてもありがたいなと思いました」
Q.動画の中で全員のメッセージが一つの流れになっていますが、シナリオや「こう話してほしい」という演出はあったのでしょうか。
関根さん「前回の動画では、普段テレビや映画、舞台の向こうにいる人たちが、自分たち(テレビなどを見ている側)と同じように悩み迷いながらも、投票について考え、その上で投票に行こうとコミュニケーションを図ってくれることが、非常に新鮮な部分だったと思います。
私たちも制作しながら、それがいかに重要なことかを意識するようになっていったので、今年は何のシナリオもなく、演出がないという演出(まるで禅問答のようですが…)を心がけました。
このプロジェクトは、著名人も私たちも同じ人間として、一緒に対話をしようという試みです。このプロジェクトのスタイルうんぬんは抜きにして、いかにこの『お互いに本当の気持ちを話している』ということが広がるかが、投票についてだけでなく、日本社会全体について大切なのでは、と考えています」
Q.今回はリレー形式の動画だけでなく、出演者一人一人がじっくり語る動画も公開されています。ソロムービーを公開したきっかけと狙いを教えてください。
関根さん「先述した考えを拡張したものです。前回の制作が終わった後、出演者の皆さんとも、結果について話し合いました。
皆さんの声をできるだけありのままに届けようとしても、映像を作る上では必ず編集が入ってしまいます。そこに違和感を覚える出演者もいると思います。そこで、できるだけ皆さんの声をそれぞれに届けようということで、いろんなメディアの動画の長さの上限を考えて、1分以内のソロムービーも編集して、より深く、個々人としてのコミュニケーションを展開しようということになりました」
Q.政治に関心がない人たちを振り向かせることはできそうでしょうか。
関根さん「こればっかりは私たちが知りたいですね(笑)。このプロジェクトを含め、多くの市民アクションは、同じ意識の人たちの中だけで循環してしまうメッセージになりがちです。VOICE PROJECTは、どうやったらそれを打破できるのかを意識し、多様な出演者にお声掛けをさせてもらっています。
最初はファン目線の入り口でかまいません。そのきっかけで見始めたら、『え、この人はこういうことを考えて、感じている人だったのか』となり、その他の出演者の話にも興味を持って…と、いろんな人の意見に耳を傾けてくれたら、うれしいです。
そうやってこのプロジェクトで入り口をつくり、私たちのウェブサイトに訪れていただいたら、他の市民活動などのアクションで、政治について学んだり、自分もアクションしようとしたりする時に役立つ活動を紹介しているパートがあります。実は私たちも、これを重要視しています。
ハードルは低くてかまわない。まずは関心がない人にコミュニケーションしなければいけません。そこから、さらに多くの人が『自分で考えたい、学びたい』となるように道をつくれればうれしいなと思っています」
※「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」今回の動画出演者は次の通り(敬称略、五十音順)
【俳優版】
池田エライザ、池松壮亮、伊藤英明、賀来賢人、北村匠海、高良健吾、鈴木福、
長澤まさみ、夏木マリ、松重豊、松本まりか、ムロツヨシ、MEGUMI
【文化人版】
綾小路翔、井上咲楽、Awich、小泉今日子、Chara、塚本晋也、中村壱太郎、浜野謙太、般若、 松尾スズキ、ゆうこす、Licaxxx、ryuchell
(オトナンサー編集部)
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