電車の扉近くにリュックを背負った人が立つと顔に当たる…「本当に迷惑」「あるある」、必要なマナーは?
電車の扉付近に立った人のリュックが顔に当たることについて、SNS上で「本当に迷惑」と非難の対象となっています。リュック使用時に電車に乗る際のマナーとは、どのようなものでしょうか。

SNS上で先日「電車でありがちなテロ」を描いた2コマ漫画が話題になりました。その漫画は「電車内の座席部分の端に座った時、扉付近にリュックサックを背負った人が立つと、リュックが顔に当たる」現象を紹介したもの。これについて「あるある」「これ本当に迷惑」「女性の髪が微妙に当たる時もあるよね」「これが嫌だから電車では端の席に座らないようにしてる」など、さまざまな経験談が寄せられました。
リュックの使用時に、電車内で気を付けるべきマナーとはどのようなものでしょうか。「マナーは互いをプラスにするもの」をモットーに、国内外の企業や大学などで人財育成教育やマナーコンサルティングを行うほか、NHK大河ドラマなどのドラマや映画で俳優や女優へのマナー指導を行い、日常生活における円滑な人間関係の構築などに関するマナー本が国内外で70冊以上(累計100万部超)のマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに聞きました。
リュックを胸にかけている男性に好感
Q.リュックを背負って電車に乗る時、どのように振る舞うのがよいのでしょうか。
西出さん「マナーの基本は相手の立場に立ち、相手の気持ちを考えることです。リュックを背負ったまま電車に乗ると、ほかの乗客のスペースを必要以上に圧迫したり、座席部分の端に座っている人にリュックを当ててしまったりと、無意識のうちに迷惑行為となる可能性があります。背後ではなく自分の目が届くように下ろして手に持ったり、網棚に置いたりするなどの配慮が必要と言えます。リュックを背負って電車に乗る時、車内の状況や自分の周辺を確認し『自分がリュックを下ろすとどうなるか』『逆に下ろさないとどうなるか』を意識して行動することはマナーの一環と言えるでしょう。とはいえ、リュックを使用することに理由がないはずはありません。背負うことで両手が空くので便利なこともあるでしょう。先日、電車内でリュックを胸側に肩からかけている男性がいました。一瞬、抱えているように見えましたが男性は立ったまま、両手を使って本を読んでいました。同じリュックでも、背負うのと前にかけるのとでは、随分と周囲への影響が違うのだなと感じました。周囲に対する配慮も感じられ、印象も良くなりました。電車がそれほど混み合っていない場合、前にかければ周囲の迷惑にならないと思いました」
Q.その他、電車(満員電車)に乗る時に気を付けるべきマナーはありますか。
西出さん「SNS上にもありましたが、長い髪によってほかの乗客が不快な思いをする場合もあります。特に満員電車では、髪の毛がほかの乗客の顔や肩などに当たったり、場合によっては、衣服のボタンに絡んだりする可能性もあります。長い髪は、なるべく乗車前に束ねて、束にした髪の毛は自分の胸側に垂らしておくと、知らぬ間に他者へ迷惑をかけているということが減ると思います。また、しっかりと付けたファンデーションや口紅などのメイクや香水などの香り系も要注意です。満員電車では、揺れなどによってほかの乗客と接触することも少なくありませんが、その際、口紅が他者に触れて衣服を汚すこともあります。もちろん、唇の乾燥を防ぐため、また身だしなみとして口紅を付けること自体は問題ありませんが、他人の衣服に触れて汚してしまわないように多少意識しておくとよいでしょう。また、昨今の痴漢冤罪問題の影響もあり、両手でつり革を持つ人も見かけるようになりましたが、まれにつり革を2本使っている方がいらっしゃいます。混雑する満員電車では、揺れに備えて一人でも多くの人がつり革を持てるように配慮すべきでしょう。さらに、雨の日は多くの人が濡れた傘を車内に持ち込みます。長傘はボタンで留め、あれば傘カバーに入れる。折りたたみ傘は畳んで傘カバーに入れ、カバンやサブバックなどに収納する。さまざまな人が利用する公共交通機関だからこそ、ほかの利用客に不快な思いをさせたり迷惑をかけたりしないように配慮することが大切なマナーと言えます。互いに気持ち良く利用できるように心配りするマナーによって、不慮のケガやトラブル防止にもつながるでしょう」
(オトナンサー編集部)
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