オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「正論を振りかざす人」はダメではない! なんでもハラスメントにしたがる風潮に違和感

ロジカルハラスメントの略語「ロジハラ」という言葉を耳にすることが増えました。筆者は、昨今のロジハラブームに違和感を覚えています。

「ロジハラ」の問題点は?
「ロジハラ」の問題点は?

 最近、「ロジハラ」という言葉を耳にすることが増えました。ロジハラとはロジカルハラスメントの略語で、正論で相手を追い詰めることを指します。例えば、上司がミスをした部下に対して、「なんでミスしたの? ちゃんと説明して!」と迫ることはロジハラにあたるというわけです。上司が部下の顔色を見なければいけない「大変な時代」になりました。

不可解なロジハラブーム

 筆者は、昨今のロジハラブームに違和感を覚えています。正論をぶつけて優位に立とうとすることが「ロジハラ」だと言われていますが、上司と部下は、仕事の責任も範囲も異なります。職責や役務は、上司ではなく会社が決定するものです。職責が上位であれば指導が強くなることは当然ですが、これを問題視されては、上司は職務を全うできません。

 なぜなら、仮に、部下にミスの責任があったとしても、正論を言って、本音で指導することができなくなるからです。部下が「上司に強い指導を受けてショックを受けました。これロジハラです」と主張した時点で、部下が上司を追い詰めていることになってしまうのです。名づけるなら、「逆ハラ」(部下が上司を追い詰める)ということでしょうか。

 強い指導を受けたからといって、なんでもハラスメントにすることはいかがなものかと思うわけです。これでは、円滑なコミュニケーションが取れなくなってしまいます。本当にバカバカしいと言わざるを得ません。

 もちろん、セクハラやパワハラは別です。例えば、「セクハラ」は職場において労働者の意に反する性的な言動が行われ、拒否すると不利益を受けることを指します。「パワハラ」は同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えることです。

 ロジハラはパワハラに近いニュアンスですが、「セクハラ」「パワハラ」とは異質なものだと考えます。筆者も会社に勤務しているとき、上司にミスをとがめられたことがあります。また、部下をかなり強く叱ったこともあります。これもロジハラなのでしょうか(苦笑)。次に、正論を振りかざす理由について考えてみましょう。

正論を振りかざす理由とは

 よくある説として「正論を振りかざす人はプライドが高く、自分の意見や考えを押し付ける」というものがあります。相手を下に見ていることが多く、上から自分の意見を押し付けることが好ましくないというのです。筆者は「何をおっしゃいますか」と申し上げておきます。

 上司が自分の意見や考えを正しいと思うことは当然でしょう。自分が言っていることが正しいと思うからこそ、部下に分かってもらいたいという心理で言っているのです。組織であれば、部下は上司に従うのが当然です。このように考えれば、世の中で言われているロジハラの多くが、実はなんら問題のない行為であることが分かります。

 それでは正論が好ましくない場面とはどのような場面を指すのでしょうか。ここでは正論の使い方について考えてみましょう。

1 2

尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

コメント

1件のコメント

  1. 首肯し兼ねる