医師との“不倫騒動”から半年…斉藤由貴がブルーリボン賞で切り開いた新境地
斉藤由貴さんが是枝裕和監督の「三度目の殺人」で、第60回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。昨年の不倫騒動から一転、女優として円熟の境地へと進みつつあります。
女優の斉藤由貴さんが、是枝裕和監督の「三度目の殺人」で、第60回ブルーリボン賞助演女優賞に輝きました。昨年は男性医師との不倫騒動という望ましくない話題ですっかり“時の人”となってしまった斉藤さんですが、今年は幸先よいスタートを切ったと言えそうです。
「三度目の殺人」は“素”に近い役だった?
斉藤さんは同作で広瀬すずさんと母娘を演じましたが、わずかな出演時間で強烈に印象に残る演技を見せたようです。大学時代から斉藤さんの大ファンだった是枝監督が満を持してオファーしたそうですが大正解、斉藤さんは監督の期待に見事に応えた形になりますね。ご家族も受賞を喜んでくれたとのこと、何よりです。
1985年にリリースした「卒業」で歌手デビュー、一躍人気者となった斉藤さんですが、その後、ドラマ「スケバン刑事」に主演したことでさらにブレーク。また同年12月には、是枝監督も斉藤さんに魅了されたという主演映画「雪の断章 -情熱-」(相米慎二監督)が公開されます。その翌年にはNHK連続テレビ小説「はね駒」のヒロインとして、老若男女を問わず全国的に知名度を高めました。そして1987年には「レ・ミゼラブル」(帝国劇場)のコゼット役で舞台女優としても着実な歩みを始めたのです。
デビューから間もない頃は、若さゆえのかわいさがクローズアップされることが多く、女優としては実力派として扱われることはあまりありませんでしたが、それでもその演技は一定の評価を受けてきました。1989年の第12回日本アカデミー賞では「『さよなら』の女たち」と「優駿 ORACION」が対象となり、松坂慶子さん、宮本信子さん、安田成美さんとともに優秀主演女優賞を授与されています(最優秀主演女優賞は「つる -鶴-」「華の乱」の吉永小百合さん)。
「三度目の殺人」で斉藤さんは、ひたすらに自らの行いを堅く信じる女性を演じていますが、もしかしたら素に近い役なのかもしれませんね。モルモン教会の信仰を持ち続けることも、不倫騒動を起こしてしまうのも、「ある意味では」ですが共通する一途さが根底にあるのかもしれません。斉藤さんが、どこか浮世離れしている感を醸し出す秘密は、意外とその辺にあるのかも……とも思います。
いずれにしても、この作品で女優としてまたステップアップしたのは間違いないでしょう。これから演技も円熟の境地に向かって磨かれて行くことでしょうし、斉藤さんの出演作、今後ますます楽しみになってきました。
(ライター、フォトグラファー 志和浩司)
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