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「月曜まで」の仕事を金曜夕に振る上司と「即レス」しない人…チームの生産性下げる迷惑な人々

就活や転職、企業人事のさまざまな話題について、企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた筆者が解説します。

「即レス」しない人の問題点とは?
「即レス」しない人の問題点とは?

 1週間の仕事を終えて、帰り支度をしようとしていた金曜日の夕方、「これを月曜日までに仕上げて」と平気で指示してくる上司はいませんか。一方、周囲の同僚や部下を見ると、何を頼んでもなかなか返事が来ず、イライラが募り…。こんな上司や同僚、部下に囲まれたら、絶望的な気分になるかもしれませんが、この2つの現象には共通点があります。そして、解決策もあります。今回のテーマは「即レス」です。

「即レス」の人は仕事ができる?

 よく「仕事ができる人は即レスだ」と言われます。何かをその人に打診すれば、即座に反応(レスポンス)が返ってくるという意味です。確かに私の周囲でも成果を挙げている人の多くは「即レス」です。仕事を頼んでも一向に返事のない人からは、仕事がどんどん逃げていきます。そんな人を巻き込んだら、どんどん仕事が遅れるからです。

 一方、打てば響くように返事をしてくれる人には、どんどん情報や相談事が持ち込まれます。待機時間が短く、最短時間で仕事を終えることができるからです。仕事はチームワークですから、自分のチームメンバーの時間を奪えば、自分の仕事の効率も悪くなり、成果も出ないというわけです。

自分の「後工程」が想像できていない

 ある意味、なぜこんな簡単なことが分からないのでしょうか。回ってきた仕事を自分が抱え込んで止めてしまえば、全体の進行が遅れることなど自明です。考え得る理由の一つは、「仕事の全体像が見えていない」ということです。自分が関わっている仕事の最終的なゴール(納期、コスト、クオリティー)が何で、自分は全体の中でどのような役割なのかが分かっていなければ、自分の仕事の「後工程」がどうなっていくのか想像できません。

 見えないものには配慮できません。だから、自分のアウトプットを待っている人のことなど考えずに、ずっとボールを持ったままでいるのでしょう。

 これがまだ若手のメンバーであれば、チーム全体への影響は少ないのですが、部長やマネジャーなど、自分たちの上司がこんな人だとチームは大迷惑です。こういう上司が、金曜日の夕方に「これを月曜日までに仕上げておいて」と平気で指示してくるのです。

 もっと早く指示をしてくれれば、余裕を持って月曜日に仕上げることもできたでしょうが、金曜日に指示されては、週末を使うしかありません。しかも、こんな場合に限って、実は上司はその仕事の指示をもっと前にできたはずなのに、期限が近づいて「まずい!」となるまで、ずっとほったらかしにしていた、というケースがあります。腹立たしいこと甚だしいのです。

自分にとって重要な仕事ばかり優先

 また、仕事の重要度を測るのに、自分の「モノサシ」だけしかない自己中心的な人である可能性もあります。チームで仕事をする中で、自分が中心的な役割のタスクと、自分は周辺的な役割のタスクがあります。

 自分のことだけを考えている人は、全体の中での仕事の優先度など考えることもせず、自分が中心となるタスクを優先的にこなしていきます。そして、他人が中心となっている仕事は後回しにしてしまうのです。

「(自分にとって)重要な大きな仕事をするためには、(全体の)犠牲もやむなし」というところでしょうか。これも迷惑な話です。しかも、その人の仕事の中だけみると、優先順位づけは最適化されているようにも見えるので困ったものです。

 ただ、実は、自分が中心ではない小さな仕事を後回しにすることは、自分にとっても、よいことではない場合も多いのです。周辺的な仕事は、比較的小さい仕事も多いので、後でやっても間に合うと考えて、放置してしまいがちなのも分かります。

 しかし、大きな仕事に集中して取り組むために、机の上をきれいに片付けるように、小さい仕事(多くは他人が中心の仕事)を先に全部やっつけてしまうというのは、良策なのです。小さい仕事であっても、どうせやらねばならないのであれば、さっさと先にやっておけば、すっきりした気持ちで大仕事に取り組めます。小さな仕事が残っていては、雑念で集中できないかもしれません。

「即レス」でチームの生産性を上げる

 ここまで述べてきたことをまとめますと、「即レス」をしない人は全体像が見えず、利己的で、集中して仕事ができない人で、しかも、チームメンバーに迷惑をかけている人ということです。

 逆に、「即レス」ができる人とは、仕事の全体像や自分の仕事の後工程がどうなっていくのかを理解していて、チームメンバーのことを思いやる利他の精神を持っていて、小さな仕事は先に片付けて、大きな仕事を集中してできるように環境を整えている人とも言えます。

 こういう人が、仕事ができるのは当然かもしれません。そして、チームメンバー全員が「即レス」し合えば、そのチームの生産性はさらに上がります。ぜひみなさんの職場でも、「即レス」を習慣づけてみてはいかがでしょうか。

(人材研究所代表 曽和利光)

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス」(共著、ソシム)など。

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