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「あなたは跡継ぎだからね」、突然告げられ困惑の36歳女性…「跡継ぎ」巡る令和のリアル

家同士のつながりでもある結婚には、時として「跡継ぎ」の問題が起こることも。祖母に花嫁姿を見せたい一心で婚活をした女性が直面した、跡継ぎ問題の実例を紹介します。

跡継ぎ問題、実は“自分ごと”かも?
跡継ぎ問題、実は“自分ごと”かも?

「令和の時代に“跡継ぎ問題”なんてある?」

 はい、もちろんあります。実際、家業を継いだ男性と結婚した女性が、嫁姑(しゅうとめ)問題で悩み、私の運営する夫婦仲相談所に来られたことがあります。跡継ぎ問題は、嫁姑の確執をはじめ、孫世代を含めた相続や介護の問題など、さまざまな対立を生みがちです。

 今回は、「祖母と孫の愛」から始まる、ひと味違った跡継ぎ問題のケースをご紹介します。

祖母に花嫁姿を見せたくて婚活決意も…

 夕海さん(36歳、仮名)はおばあちゃん子で、3つ離れた兄がいます。夕海さんの父方の祖父母は、北陸地方の資産家です。夕海さん一家はお父さまの仕事の関係で転勤が多く、祖父母が暮らす土地に住んだことはありませんが、夏休みと年末年始には必ず帰省していました。夕海さんは祖父母からかわいがられて育ったといいます。夕海さんの父親は長男なので、祖父母の家を継ぐことは決まっていました。

 夕海さんが34歳のときに祖父が亡くなり、その翌年、祖母が脳梗塞で倒れました。一命は取り留めましたが、もう1人で暮らすことはできません。夕海さんの父はまだ会社勤めをしていたので、祖母は施設に入ることになりました。東京のアパレル会社に就職していた夕海さんでしたが、休日を使って祖母に会いに行くようにしていました。

 そんなある日、夕海さんが祖母のもとを訪れると、祖母がポロポロと泣きだしました。理由を聞くと、「ばあちゃんは、夕海ちゃんの花嫁姿を見ることはなく死ぬんだろうね」というのです。その姿を見ていた夕海さんは涙が止まらなくなりました。それまで、仕事が充実していて都会暮らしが楽しく、結婚は考えもしなかったという夕海さんですが、一念発起。「ばあちゃんが他界する前に結婚する」と決心します。

 大手の結婚相談所に入会し、見事、4カ月後に結婚相手を見つけます。担当者が熱心に協力してくれたそうです。夕海さんは将来の夫と共に、祖母のもとへ報告に行きました。当然のように、すごく喜んでくれるものと思いきや…。

 祖母は開口一番、「夕海ちゃんはうちの家の跡継ぎですが、婿養子になってくれますか。あなたのご両親はうちの格を知っているのかしら」と、彼に暴言を吐いたのです。

「家も庭も山も、ぜーんぶ夕海ちゃんのものよ」

 びっくりしたのは夕海さんです。「おばあちゃん、そんなの初耳だよ。何それ?」と言うと、「夕海ちゃんが小さい頃から、家も庭も畑も山も、ぜーんぶ夕海ちゃんのものよって言ってきたでしょう。次郎(父親、仮名)だってそのつもりよ」と。

 取りあえず、その場ではそれ以上、跡継ぎの話はせずに夕海さんたちは帰りました。その夜、父親に電話で確認したところ、父親もそんな話は初耳とのこと。「ボケてきたのかもしれないから、まともに取り合わなくていい」と父親は相手にしません。困ったのは夕海さんとその彼です。

 2人とも都内勤務。地方移住は考えていません。ましてや婿養子なんて論外です。祖母に花嫁衣装を見せることを目標に婚活をして結婚相手を見つけた夕海さんは、何とも複雑な気持ちになったそうです。父親は「相手にしなくていい」と言っていますが、もし万が一、遺言書に「夕海さんに全てを託す」などと書かれていたとしたら困ったことになってしまいます。兄夫婦とけんかになるのも嫌です。夕海さんは再度父親に、祖母の遺言などを確認してもらうように念押ししました。

「小さい頃から、“ぜーんぶ夕海のものなんだからね”と言われてきましたが、本気でそう思っていたなんてびっくりです。確かに、兄よりかわいがってもらったと思いますが、単純に女の子だからなのかなと思っていたので。私も彼も、あの家を継ぐなんて無理です。先祖のお墓を守ることだってできないです。よく考えれば、兄一家にそれを背負わせてしまうのも申し訳ないですよね。いろいろ、知らないことが出てきて驚いています。花嫁姿を祖母に見せてあげたいと思っただけなのに。結婚はまだ先になってしまいそうです」

 高齢化社会が進み、相続問題はメディアでも多く取り上げられてきています。「自分が“跡継ぎ認定”されていたなんて」と驚くことがないように、早い段階から家族で相続や跡継ぎの話をしておくことをお勧めします。今は「終活」という言葉も広まり、明るい気持ちで今後のプランを考えて家族に伝えやすい時代です。病気でなくとも、事故や災害で不慮の死を遂げることもあるかもしれません。40歳を過ぎたら、親と自分の終活をセットで考える意識付けをするのがよいと思います。備えあれば憂いなしです。

「アラフォーで終活?」と尻込むなかれ。息子・娘世代が「終活ノート」を書き始める姿を見せると、親もその気になります。終活は資産整理だけでなく、自分が家族にどんな思いを抱いているか、何を誰に残したいかを再確認できる“人生振り返り行動”にもなるのです。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。また、フェムテックの分野で女性を支援する企業「Glad」を創業し、新しいサービスを手掛けている。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式LINEアカウント(https://lin.ee/oTQa13s)、公式note(https://note.com/suzune_16)、Glad(https://www.glad.tech)。

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