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独り言をよく言う人の心理とは? 心理カウンセラーに聞く

「こっちがこうで…」「なるほどな〜」といった独り言をよく発している人、身近にいませんか。独り言が多い人の心理とはどのようなものなのか、心理カウンセラーに聞きました。

独り言が出やすいのはどんな人?
独り言が出やすいのはどんな人?

 誰に向けるでもない、「なるほどな〜」「こっちがこうで…」「あっ、間違えた!」といった「独り言」が多い人について、「職場にいる」「私のことかも」と思い当たる人もいるのではないでしょうか。独り言が多い人について、周囲は「自覚がないのか、いつも大きな声で独り言を言っている同僚がいる」「リアクションした方がいいのか迷う」「あまりにも多いとうるさいかも」と感じているケースもあるようですが、「どうして独り言を言ってしまうんだろう」「独り言が多いのは自覚しているけど、直し方が分からない」といった疑問の声も少なくありません。

 つい、独り言が出てしまう人の心理とはどのようなものなのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

「気質」「成育歴」「環境」が影響

Q.なぜ、独り言が出るのでしょうか。「独り言が多い」のは、どういった心理状態からくる行動なのですか。

小日向さん「要因はいくつか考えられ、どんな独り言を発するかでおおよその心理考察が可能だと思います。例えば、『ここをこうして…』『あ、間違えた!』などは自身の思考ロジックの確認や整理をするため、『バカやろう』『死ね』といった暴力的な独り言や、実際に暴力が伴う独り言の場合は、ストレスがたまっている状態が考えられます。

また、『どうしてこうなるんだろう?』『まずい、大変なことが起きた』など、隣にいたら思わず『どうした?』と聞いてしまうような独り言は『構ってほしい』心理から、1人暮らしの家に帰宅時の『ただいま』や、テレビのクイズ番組に『◯◯!』と声を出して答える、バラエティー番組で突っ込みを入れるといった独り言は、寂しさから出るものと考えられるでしょう。なお、そこにいない誰かと会話したり、話し掛けたりしている様子の場合は、何らかの病気の可能性があります」

Q.独り言をよく言っている本人には、「自分は独り言が多い」という自覚があるケースが多いのでしょうか。それとも、自覚がないケースが多いのでしょうか。

小日向さん「自覚がある人の方が多いと感じます。ただ、それを自覚するタイミングはさまざまで、言った直後に『今、独り言を言っちゃった』と気付く人もいれば、仕事から帰宅して『今日は独り言が多かったよな』と気付く人もいます。ただ、『自分は独り言が多いタイプである』とパーソナリティーの一つとして自覚するきっかけは、他人からの指摘によることが多いようです。従って、しばしば独り言が出ていることを指摘しても、かたくなに否定する人の場合は、本人にとっては独り言ではない、つまり疾病である可能性が高くなると思います」

Q.独り言が出やすい人にみられる特徴はありますか。

小日向さん「年齢や性別ではなく、その人の気質+成育歴+置かれている環境が大きいと思います。例えば、試験勉強や研究など、自分一人の思考に集中することが多かった(あるいは多い)環境の人▽話す人がいなくて孤独な人▽静寂な空間が苦手な人▽声を出すことを含めて、体を動かすことがストレス発散になる人―などは独り言が出やすくなると思います。つまり、現在独り言を全く言わない人でも、環境や状況が変われば言うようになる可能性は十分にあると思います」

Q.具体的に、独り言が出やすくなる(増えやすくなる)環境とはどんなものですか。「1人暮らしを始めてから独り言が増えた」という人もいるようです。

小日向さん「1人暮らしを始めてから独り言が増えたと感じる人は、もともと静寂な空間が苦手な人なのでしょう。例えば、自分が勉強や仕事をする際、喫茶店やファミレスなどの『雑踏がある場所』か、ホテルなどの『1人だけの密室空間』のどちらを取るかを起点として考えてみると、自分と“静寂”との相性が見えてきます。

前者を好む人の1人暮らしは、常に音楽や動画など、生活が音に囲まれていることが多いです。移動中はイヤホンなどで常に音を聞いている、帰宅するとすぐに音楽をかける…など、心当たりがある人もいるでしょう。独り言も鼻歌も『音』です。つまり、1人暮らしになると独り言が増えるのではなく、静寂が苦手な人が1人暮らしを始めたため、独り言が多くなった、と捉えるのが適切ではないかと思います」

Q.独り言をよく言う人が職場や家庭内にいる場合、周囲では「リアクションした方がいいのか迷う」などと感じる人もいるようですが、どのような接し方、振る舞い方が望ましいと思われますか。

小日向さん「どんな独り言かによるでしょう。先述したように、自身の集中や思考の整理のための言葉であればリアクションは必要ないですし、“構ってほしい”言葉のときは、自分がその人に構ってあげたいか否かで判断すればよいと思います。あるいは、言える関係性であるという前提ですが、その独り言が不快である場合は、本人に直接『控えてほしい』と言うこともアリでしょう。ただし、先述のように、病気が疑われる独り言の場合は放っておいてはいけません。会社のメンタルヘルス相談窓口や、専門の医療機関に相談しましょう」

Q.独り言をよく言う本人が、独り言が出ることの自覚や、周囲からの指摘による気付きなどから「直したい」「減らしたい」と思ったとき、その方法はあるのでしょうか。

小日向さん「『今から独り言を言うぞ!』と思って独り言を言うわけではないため、指摘されても修正が難しいのが独り言です。『直したい』と思い過ぎて自分を追い詰めると、それが強迫観念になり、さらに独り言が多くなってしまう危険もあります。

独り言はそれ自体が問題ではなく、聞いている人が不快になり、人間関係が悪くなることが問題なのですから、『私は独り言を言う癖があるので、無視していただいて構いませんし、もしうるさかったら遠慮なく指摘してくださいね』とカミングアウトしてよいと思います。本人から言ってもらえると、周囲も対応が分かるので楽になります。また、『ガムを食べる』『あめをなめる』など、物理的に言葉を発することが難しくなる行動を試してみてもよいでしょう」

(オトナンサー編集部)

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小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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