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「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」 人事担当者のSNS投稿が波紋 問題点は?

ある民間企業の人事担当者が、「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」などとツイッターに投稿し、ネット上で波紋が広がっています。その問題点について、転職コンサルタントに聞きました。

「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」という投稿の問題点とは?
「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」という投稿の問題点とは?

 ある民間企業の人事担当者が1月末、「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」といった内容の文章をツイッターに投稿し、ネット上で波紋が広がっています。その後、この人事担当者は「あくまで私の意見、考え方」「価値観はそれぞれ違う」などと釈明しましたが、ネット上では、「給与、待遇を軽視する企業に魅力は感じない」「それ(給与や待遇)以外にどこにこだわれと?」「求職者への敬意がない」などと、批判的な意見が多く寄せられています。今回の投稿は、何が問題だったのでしょうか。転職コンサルタントの瀧本博史さんに聞きました。

組織の統率力や危機管理に問題

Q.ある民間企業の人事担当者が、「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」「待遇/給与で会社を選ぶ人と働きたいとは思わない」などとツイッターに投稿し、ネット上で波紋が広がっています。そもそも、就職活動時や転職活動時に、給与や待遇で会社を選ぶのはいけないことなのでしょうか。

瀧本さん「『働く上で何を大切にしたいか』という価値観は人それぞれなので、給与や待遇面で会社を選ぶことは重要なことです。入社後、組織の一員として、しっかりと与えられた役目を果たせば問題ありません。

労働者を雇い入れる際に、雇用主は、労働契約の期間や賃金などを記載した『労働条件通知書』を必ず作成し、交付する必要があります。この内容に双方が合意をして、初めて労働契約が結ばれるので、内容に納得がいかない場合、辞退することも可能です」

Q.「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」「待遇/給与で会社を選ぶ人と働きたいとは思わない」といった投稿の問題点について教えてください。

瀧本さん「雇用主ではない人事担当者が、あくまで個人の意見としつつも、『この発言をすると、どうなるのか』といったことを一切想像せずに発言したことが問題です。これはSNSという、誰でも自由に意見して閲覧できる場所に投稿することで容易に拡散が起こり、雇用主の意思とは違ったところで自社の姿勢を解釈する人も出てくる危険性があることに考えが及ばなかったことに原因があります。

応募者にとって、自分の価値は自分で決めたいものです。働くための理由は、心の中で思う限りは、一つの組織で働き続けなくても、キャリアアップをメインに一時的にその場所で働くというものでも問題はありません。

いずれにしても、『よほど自社が提供している待遇に自信があるんだな』などの話題性を狙った『炎上商法』と受け取られても仕方がない、マイナスにしかならない発言だったと思います」

Q.では、ツイッターなどのSNSに、今回のような問題発言とも受け取れる投稿をする民間企業についてお聞きします。そうした企業は、ブラック企業である可能性が高いのでしょうか。

瀧本さん「企業がSNSを通じて情報を公表する際は、事前に投稿内容を精査するのが一般的です。これはSNSを利用する個人の力が、自社にとって敵にも味方にもなることを知っているからです。発信する本人の役職にかかわらず、問題発言とも受け取れる投稿を野放しにしてしまう雇用主は、統率力がなく危機管理体制も甘いと考えられるので、ブラック企業である可能性は高いと言えるでしょう」

Q.ちなみに、就職活動時や転職活動時に、SNSでブラック企業を見抜くコツがあれば、教えてください。

瀧本さん「就職活動時や転職活動時は、応募を検討している企業の名前をツイッターで検索してみましょう。当該企業の公式アカウントがない場合でも、プロフィルに『○○(当該企業)勤務』などと書かれた個人アカウントが見つかれば、投稿内容を通じて、その企業の価値観や社内体制が分かるかもしれません。

特に、『○○勤務』とプロフィルに書いた若手社員が自分の顔をアイコンに使い、問題発言とも受け取れる投稿をしていれば、先述のように、雇用主の危機管理が甘い可能性が高いので、ブラック企業を見抜くきっかけとなります。

それでも見抜けずに就職してしまった場合、まずは、ご自身のこれからの職業生活設計に対して、この企業を退職することがプラスに働くのかどうかをキャリアコンサルタントに相談してみましょう。彼らは職業生活設計のプロであり、また国家資格者であるので相談相手としては最適です。その上で、労働条件通知書に提示されている労働条件と実際の職場環境が異なる場合や、現状の職場環境に納得がいかない場合は、労働基準監督署に相談をしましょう。

ただし、試用期間中に相談した場合、雇用主から『解雇』を言い渡される場合があるので、注意しましょう」

(オトナンサー編集部)

瀧本博史(たきもと・ひろし)

転職コンサルタント

転職に関する職業相談を行う専門家。産業カウンセラーとして働く人への「心のケア」ができるのと同時に「就職・転職相談の熟練者」である国家資格2級キャリアコンサルティング技能士資格を持ち、ハローワーク職員、自治体の職業相談員、就職指導や職業訓練校講師などの業務に携わり、25年の実績を持つ。「自分らしさ」を大切にした働き方を提案し、新卒から高齢者まで一人一人の方へ「個性」「適性」を尊重した、きめ細やかな提案を実施している。国立大学でのキャリア関連授業の講師や私立大学での就職相談・セミナーに加え、後進のキャリアコンサルタント育成にも携わっている。専門家プロファイル・瀧本博史(https://profile.ne.jp/pf/office-takimoto/)。

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