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スポーツ万能夫と物静かな妻の行く末は…「正反対同士」と「似た者同士」、どちらがうまくいく?

世の中には、タイプが正反対の夫婦もいれば、似た者同士の夫婦もいます。果たして、夫婦仲がうまくいきやすいのはどちらの方なのでしょうか。2つの事例から考えます。

夫婦は似た者同士の方がいい? それとも…
夫婦は似た者同士の方がいい? それとも…

「え! 彼と彼女が付き合っているなんて意外だわ」。そんな、驚くようなカップルの組み合わせがありますよね。“陰キャ”と“陽キャ”、おしゃべりと無口、アウトドア派とインドア派、スポーツマンと手芸家…組み合わせによっては、漫画の主人公の設定のように見えるケースもあるかもしれません。

 お付き合いレベルなら、性格や取り巻く環境が正反対同士でも楽しい時間を過ごせるかもしれませんが、生活を共にするとなると「意見が食い違わないのか」と疑問視する見方が一般的です。今回は、「タイプが正反対の夫婦」と「似た者同士の夫婦」とでは、どちらの方がうまくいくのか、事例とともに考えていきましょう。

活発スポーツマン夫に物静かな妻…出産後のすれ違い

 雄輔さん(38歳、仮名)・笑里さん(33歳、同)ご夫婦はもともと、会社の先輩と後輩でした。笑里さんが、社内のフットサルチームでプレーしていた雄輔さんのファンになり、お付き合いがスタート。笑里さんは毎週末、試合や練習に行く雄輔さんに付き添い、お弁当を作ったり、チームの飲み会に参加したりしていました。雄輔さんはいつも仲間たちの輪の中心にいましたが、笑里さんはそれを端の方でニコニコと見ている控えめなタイプです。

 雄輔さんは結婚後もフットサルの活動を継続。笑里さんも、出産前までは一緒に行っていましたが、出産後はそうもいきません。子どもができても雄輔さんのライフスタイルは変わらず、週末はフットサル、平日夜は飲み会もしばしば。そんな雄輔さんに悩んだ笑里さんが、私の主宰する夫婦仲相談所を訪れたのです。

 笑里さんは雄輔さんのことが好きで、関係を壊したくないから、「フットサルに行かないで子どもの面倒を見てほしい」と伝えられない、といいます。そこで、私は笑里さんに、その気持ちは伝えなければ察してくれないとアドバイスしました。「あなたのことを好きなのは変わらないけれど、フットサルに行く頻度を減らしてくれるといいな。子どもの成長を一緒に楽しんでほしい。いつも週末、子どもと2人きりで寂しい」と率直に伝えるように、と。決して、「私だけが損しているから、おまえも子育てしろ」みたいな言い方はしないように、とも助言しました。

 そして、笑里さんはその通り、雄輔さんに伝えました。

「彼は私が、フットサルをしている自分をかっこいいから好きなんだと思っていたそうです。スポーツ万能で、仲間に慕われる“イケてる俺”を見てくれ、という気持ちで。私が静かなタイプだから、家で子育てを楽しんでいると思った、私が悩んでいるって知ってビックリだったって。これから、土日のどちらかは家で子どもを見る約束をしました。あと、平日の飲み会は、『むしろ、夜ご飯の用意をしなくて楽だろうと思っていた』と言っていました。2人とも全くの思い違いをしていました」と教えてくれました。

 外向的で、人と過ごすのが好きな夫、内向的で物静かな妻。正反対のお二人ですが、今では仲良く子育てをしています。口数が少ない妻は、率直に不満を伝えにくい傾向がありますが、黙り込んで我慢しないこと。そして伝えるときは、怒るのではなく、冷静に自分の感情を伝えることが大事です。

2人とも上昇志向…「意識高い系夫婦」のほころび

 美沙希さん(42歳、仮名)と宏文さん(40歳、同)は大学時代のサークル仲間。上昇志向が強い2人は、新卒で入った会社の悩みなどを話すうちに意気投合し、2年のお付き合いを経て結婚しました。

 美沙希さんは仕事を頑張り続け、若くして管理職に就くなど、順調な仕事ぶり。宏文さんも、美沙希さんに負けじと頑張っていました。会社は違いますが、お互いを刺激し合い、切磋琢磨(せっさたくま)する2人は“同志”のようでした。美沙希さんが妊娠・出産した後も、当時まだ珍しかった男性社員の育児休暇を宏文さんが取るなどして、負担が美沙希さんだけにかからないよう協力し合っていました。

 そんな理想的な関係に溝が生まれます。宏文さんが転職して、年収が美沙希さんよりも上になり、役職に就いた頃からです。本来ならば、夫の給料が上がることはうれしいはずですが、美沙希さんは違いました。

「妊娠・出産したって、仕事では私の方が一歩リードしていると思っていました。部下もいるし。でも、いつの間にか夫に抜かれてしまったことが悔しい。その思いから、わざと彼のことをバカにするような態度を取るようになってしまったんです。『その仕事、人の役に立ってんの?』とか、『部下がだめなのは、あなたが未熟だからよ』とか。『このビジネス書、読んでいないなんて信じられない』とか。それをきっかけに仲が悪くなったかな。今では、子どもを介してじゃないと会話できません」

 似た境遇だと、つい争いたくなるのも理解できます。しかし、同じ方向に上昇志向を持っていたとしても、お互いを思いやる気持ちが欠如していたら、いい夫婦関係を続けることはできません。いつもマウントの取り合いになり、殺伐とした会話になってきます。

 タイプが正反対の夫婦でも、似た者同士の夫婦でも、相手を思いやる気持ちがなければ、とんでもない方向に分岐してしまいます。逆に言えば、どんなにタイプが正反対の夫婦であっても、「思いやり」と「会話力」があれば関係ないということでしょう。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。また、フェムテックの分野で女性を支援する企業「Glad」を創業し、新しいサービスを手掛けている。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式note(https://note.com/suzune_16)、Glad(https://www.glad.tech)。LINE登録で「夫婦仲チェックシート」を無料プレゼント(https://fufunaka.com/archives/lp/line)。

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