あなたはどっち? 「コーヒー」を飲める人/飲めない人の違いとは 加齢も関係?
「コーヒーは苦手」という人がいますが、そのタイプもさまざまなようです。コーヒーが苦手な人の味覚について、専門家に聞きました。
オフィスでの休憩時や食後、朝の眠気覚ましなどに「コーヒー」を愛飲している人は多いと思いますが、「コーヒーは苦手」という人も存在します。ただ、苦手と一口にいっても「若い頃は飲めなかったけれど、年を取ってから飲めるようになった」「クリームを入れれば大丈夫」などさまざまなタイプがあるようです。コーヒーが苦手な人の味覚について、一般社団法人日本味覚協会の水野考貴さんに聞きました。
苦味に対する慣れ
Q.コーヒーが苦手な人がいます。一方で「大人になったら飲めた」「30~40代で飲めるようになった」という声も聞きます。なぜでしょうか。
水野さん「主に2つの理由があると考えられます。1つ目は苦味に対する『慣れ』の問題です。コーヒーに含まれるカフェインは代表的な苦味の成分ですが、この苦味は(カフェインを過剰摂取した場合などの)『毒』のシグナルであり、人は本能的に違和感を覚えるようにできています。しかし、個人差はありますが、何回も繰り返して食べたり飲んだりすることで『この苦味は安心だ!』と体が感じ、違和感を覚えなくなるため、コーヒーが飲めるようになると考えられます。
2つ目は味を感じる細胞の集合体『味蕾(みらい)』の減少です。赤ちゃんの頃に約1万個ある味蕾が、高齢者になると半減してしまうといわれているように、年を重ねるにつれて、味蕾の数は減少していきます。そのため、年齢が上がれば上がるほど苦味を感じにくくなり、結果として、コーヒーが飲みやすくなると考えられます」
Q.コーヒーが好きな人と苦手な人は味覚的・身体的に何か違いがあるのでしょうか。
水野さん「元々の味覚や身体的な違いよりも、前述の通り、苦味への慣れや年齢による味蕾の減少で違いが出てくるのだと思います」
Q.コーヒーが苦手な人でも、クリームや牛乳を入れたら飲める人もいます。乳製品がコーヒーの成分に影響しているのでしょうか。
水野さん「『抑制効果』が働くことが要因と考えられます。コーヒーに砂糖やミルクのような甘味の強いものを入れると『甘さが増して、甘味と苦味の両方の味が強くなる』というよりは『甘味はそれほど強くならないが、苦味が抑えられる』という効果が得られます。これを抑制効果といいます。
抑制効果は両方の味の刺激が同じくらいのときに起こりやすいといわれています。クリームや牛乳などは量を調節しやすく、コーヒーの苦味が苦手な人は多く入れることで、苦味を緩和できるようになると考えられます」
Q.コーヒーが苦手な人が飲めるようになる、あるいは飲みやすくなる方法があれば教えてください。
水野さん「コーヒーが嫌いという人は初めて飲んだときの違和感を忘れられず、いわゆる『食わず嫌い』になっている人が多いと思います。少し我慢して何度かトライしてみると、だんだんと苦味に違和感を覚えずに飲めるようになると思います。また、苦味は甘味を加えることで抑制できるので、甘さの量を調整しながら、少しずつ苦味に慣れてもらうとよいと思います。
コーヒーの苦味以外にも、旅行先など『初めての味』を味わう際に違和感を覚えることがあるかと思います。これを毛嫌いするのではなく、できるだけ、いろいろな味にチャレンジし、豊かな食経験を重ねていただくとよいと思います」
(オトナンサー編集部)
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