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ゼミの武蔵、難易度東大級の国際教養…「小規模だが評価できる大学」ランキング

入試や授業内容、学生の就職支援など、大学のさまざまな話題について、教育関連の情報発信に携わってきた筆者が解説します。

評価が高い小規模大学は?
評価が高い小規模大学は?

 筆者が常務を務める大学通信は毎年、全国の進学校2000校にアンケートを行っています。今年は739校から回答があり、項目別に、進路指導教諭におすすめの大学を挙げてもらいました。その中で「小規模だが評価できる大学」はどこかを聞きました。5校連記で記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次を4ポイント…として計算し、集計しています。上位に入った大学を紹介しましょう。

女子大、公立大が躍進

「小規模だが評価できる大学」上位10大学
「小規模だが評価できる大学」上位10大学

 トップは国際教養大学です。次いで、武蔵大学、国際基督教大学、産業能率大学、会津大学、津田塾大学の順になりました。上位4校はいずれも、文系の小規模大学です。学生と教員の距離が近く、特色ある教育で高い評価を得ています。

 国際教養大学は秋田市にある、国際教養学部のみの単科の公立大学です。2004年に新設、授業はすべて英語で行われ、卒業までに1年間の留学が必須です。1年生は留学生などと寮生活を送ることになっており、グローバル教育に特化した大学です。

 人気も全国区で、今年の高校別合格者数をみると上位はさすがに地元の学校で、トップは秋田高校の6人ですが、3位に神奈川の洗足学園4人、5位にさいたま市立浦和(埼玉)、国立(東京)、横浜国際(神奈川)各3人が合格しています。首都圏の学校からもかなりの受験者がいて、合格しており、難易度は東大の文系並みに難化しています。

 2位は「面倒見がよい大学」でも2位と高い評価を得ている武蔵大学です。経済、人文、社会の3学部の大学ですが、来年は国際教養学部を新設予定です。“ゼミの武蔵”といわれるほど、ゼミナール形式の授業が4年間必修で有名です。このゼミナールは少人数教育で、双方向で授業を進める、今でいうアクティブ・ラーニングの授業を昔から実践しています。英ロンドン大学と武蔵大学の学位をともに取得できる『パラレル・ディグリー』も実施しています。

 3位の国際基督教大学は、留学生が多いことで知られる教養学部の単科大学です。開学以来、少人数のリベラル・アーツ教育を行ってきたことで評価が高くなってきました。

 さらに、今年の特徴は女子大の躍進です。昨年の11位から6位にアップした津田塾大学、37位から11位の神戸女学院大学、265位から14位の恵泉女学園大学など、上位20位内の女子大はすべて順位を上げています。コロナ禍での不況到来が懸念される中、就職に強い女子大に注目が集まっているからでしょう。

 昨年から順位をジャンプアップさせた恵泉女学園大学は東京の多摩市にある、人文と人間社会の2学部の女子大学です。園芸教育に力を入れていることで知られ、学生は毎年、野菜や花を育てています。コロナ禍による受験生の安全志向の高まりも、女子大人気の一因とみられます。

 また、公立大が多いのも特徴です。近年設置されたところも多く、学費が安い上に独特の教育を実施していることが評価の理由でしょう。小規模でも評価の高い大学はたくさんあります。総合大学とは異なり、小規模だからこそ早く改革できるというメリットもあります。今後も新しいコンセプトの小規模な大学が新設されていきそうです。

(大学通信常務 安田賢治)

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安田賢治(やすだ・けんじ)

大学通信常務

兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、1983年に大学通信入社。現在、同社常務取締役で、出版編集とマスコミへの情報提供の責任者。小・中・高・大の入試から高校の大学合格実績、大学生の就職までの情報提供と記事を執筆、講演も多数。大正大学人間学部で講師も務める。著書に「中学受験のひみつ」(朝日出版社)、「笑うに笑えない大学の惨状」「教育費破産」(ともに祥伝社新書)がある。

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