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夫の「カレー“で”いいよ」にイラッとする妻、ボタンの掛け違いどう防ぐ?

何気ない会話で、一方は悪気なく言ったことが、もう一方の反感を買うことがあります。夫の「晩ご飯はカレーでいいよ」もその一つで、妻はイラっとするようです。

夫の何気ない言葉に…
夫の何気ない言葉に…

 何気ない会話の中で、一方が悪気なく言ったことが、もう一方の反感を買ってしまうことがあります。こうしたケースは夫婦間でよく見られるもので、例えば、妻が「晩ご飯は何がいい?」と尋ねると、夫が「カレーでいいよ」と答えたときです。

 妻は夫の「で」という言葉にイラっと、あるいはモヤっとすることが多いそうです。中には、夫の返答に怒る妻もおり、夫はなぜ妻を怒らせたのか分からず、途方に暮れてしまうこともあります。場合によっては「何を怒っているんだ」と夫も怒り始めることもあるでしょう。こうしたボタンの掛け違いはどのようにすれば防げるのでしょうか。

カレーの他にサラダも用意

 夫から、実際に「カレーでいいよ」と言われたことがあるAさん(36歳、女性)に思うところを聞いてみました。

「夫はできたカレーをスプーンで飲むようにペロッと平らげるだけなので、作るのも簡単に思えるのかもしれません。でも、作る手間と食べる手間は全く別で、『カレーはお手軽に作れる部類の料理じゃないんだよ!』と知ってほしいです。

それにカレーがメインとなれば、食卓を任された私としてはもう1品、サラダのようなものも用意したいところです。夫が『カレーでいいよ』と言ったとき、私は作るのが大変なカレーと、さらにサラダを用意することを余儀なくされるわけです」(Aさん)

 この問題は妻が「カレーは大変だから別のものにして」とひと言伝えることができれば、解決に近づきそうですが、事はそう単純ではありません。

「料理は私の担当なので、『別の料理にして』と言うのも自分の担当がきちんと全うできていない気がして言い出しにくいです。それに『(カレーが大変なことは)私が言わなくても察してほしい』という気持ちもあります。それすら分からない、家事への関心が低い夫にいちいち伝えるのもばかばかしい気がして、なかなか言う気持ちになりません」

 Aさんの家庭では家事を夫婦で分担してはいますが、夫の担当はごみ出しと買い物だけで、家事全体の負担割合はAさんによれば、「(夫に)ひいき目に見て、私『8』、夫『2』」とのことです。つまり、Aさんの家庭では家事においてやや、「亭主関白」気味な状態が当たり前になっており、Aさんが家事の在り方の改善について、話を切り出すのが難しい雰囲気が出来上がっています。

「カレーは大変だから、別の料理にしてほしい」という、一見、お願いすることが簡単に思える会話も、夫婦の関係性によっては妻が相応の覚悟を決めない限り、口には出せないというわけです。

 また、「カレーでいいよ」について他の女性からは「こちらが食事を用意することが大前提になっているのが嫌です」(32歳、女性)、「夫が『カレーで』と妥協した優しさを見せながらも、実は上から目線なのが余計にイラっとしてしまいます」(40歳、女性)などの問題点が指摘されました。

いざ話してみれば…

 こうしたボタンの掛け違いによるあつれきを未然に防げるかもしれないヒントについて、結婚2年目のBさん(39歳、男性)のケースから探っていきたいと思います。

 Bさんは会社の帰りに、たまに妻から買い物を頼まれるそうです。Bさんの家庭は共働きですが、妻の帰宅が早いため、晩ご飯は妻が用意してくれることになっています。妻が夫に買い物を頼むものは主に、その日に使いたいけれど足りない食材です。

「スーパーが駅の反対側にあり、寄ると帰宅が15分ほど遅れます。普段は全然構わないのですが、仕事で疲れて一刻も早く帰りたいときに頼まれるとげんなりします。買い物をして帰っても、妻から、『ありがとう』と言われるわけでもなく、ちょっとモヤモヤがたまります。とはいえ、いちいち妻に『ありがとうは?』と言うのもなんだか…食事を用意してくれる妻に対して、自分の心が狭いように感じられ、さらにモヤモヤします」(Bさん)

 2人の関係に変化が訪れました。Bさんのお使いについて夫婦で話す機会があったのです。

「買い物を頼まれて帰ったある日、僕の雰囲気がどんよりとしていたようで、妻が『何かあったの?』と聞いてきました。『別に』とはぐらかしていたのですが何度も尋ねられ、この際全部ぶっちゃけてしまうかと決心しました」

「こんなことを言うのは自分の心が狭いようで嫌なんだけど…」と切り出し、会社帰りに買い物を頼まれると、帰宅が15分遅れるだけだけれども疲れている日はそれがこたえること、頼まれて買い物をしてきたのに、妻に「ありがとう」と言われないのが物足りないことなどをBさんは包み隠さず伝えました。

「妻からまず、『気が回らずにごめん』というおわびがありました。そして、『これから、疲れているときは(お使いを頼まれても)きちんと断ってほしいし、私も買ってきてもらったらちゃんと“ありがとう”と言うようにする』と言われました。

『あれだけモヤモヤしていたのは一体何だったのだろう』というくらい、あっけなく解決してしまいました。妻の言い回しは『買ってきて』から、『大丈夫そうなら買ってきてもらえる?』に変化しました。僕がモヤモヤさせられた“お使い問題”はその後起きていません」

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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