オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

今年も事故多発! 「スキー」を安全に楽しむための心得とは

雪崩の有無を見分けることはできる

 スキー客の事故の多くは、雪崩に巻き込まれたことによるものと考えられます。雪崩の危険ポイントは全国に2万カ所以上あるとされ、スキー場でも注意喚起がなされていますが、では、雪崩が発生しやすい場所を見つけることは可能なのでしょうか。

 坂本さんによると、答えは「イエス」です。まず、着目すべきは木の本数といい、「木が生えていない場所は一度雪崩が起こった場所。つまり、もう一度起こりうる可能性があると考えてよいのです」。

 さらに正確にポイントを見極めたいなら、知っておきたいのが「弱層」の見方。雪崩の中でも、特に事故につながりやすい「表層雪崩」は、積雪内にある数ミリ~数センチの崩れやすい弱層から発生するといいます。坂本さんによると、シャベルで1メートルほど雪を柱状に掘り出せば、弱層があるかどうかを判断することができるそう。

 「雪の柱の上部をシャベルで叩いた時、亀裂が入って崩れるのは弱層のサイン。強い衝撃でも壊れないことが必須です」

 また、もしも雪山で遭難して道が分からず、辺りが暗くなってしまった場合は、むやみに動かず明るくなるのを待つのが鉄則。その際は、かまくら状に雪を掘って、雪や風を避けることを心がけます。坂本さんによると、この際に工夫したいのは、「風が入りにくい方角」に向けて「小さめの入り口を作る」こと。さらに、ナイロン製の布やビニールなどで入り口をふさぐと、より効果が高まるそうです。かまくらの中では、暖を取りながら待機し、明るくなってからGPS(全地球測位システム)などを使って来た道を辿れば、遭難を防ぐことができます。

 雪山で遭難しかけた場合、無事に帰還できるかどうかのカギは「保温」にあると言えるかも知れません。

(オトナンサー編集部)

1 2

坂本豪大(さかもと・たけひろ)

プロスキーヤー(元日本代表・長野五輪代表)

札幌市出身。モーグル、スキークロス日本代表。趣味はスノーボード。
<モーグル戦歴>
1996年「FISワールドカップ最終戦マイリンゲン大会」優勝(W杯初出場初優勝は日本人初の快挙)
1998年長野五輪出場
1999年全日本選手権優勝
<スキークロス戦歴>
2002年「US SKI OPEN SKI-X」出場(Semi Final進出)
「SKI JAM SKI SNOWBOARD OPEN SKI-X」2位
2003年「FISワールドカップSKI-X」を日本代表として転戦
現在、神立フュージョンバンプスクール講師(非常勤)も務める。https://www.facebook.com/KandatsuFusionBumpSchool

コメント